1.20

原文

śraddhā-vīrya-smṛti-samādhi-prajñā-pūrvaka itareṣām

和訳

身体を持たない存在や、自然原理(プラクリティ)に融解した存在とは異なり、普通の修行者たちは、

  • 信頼(自分の体験や師の教えに対する)
  • 努力
  • 記憶・保持
  • 三昧(サマーディ)
  • 智慧

を経て、解脱に至る。

解釈

前節では、特別な存在が、その「あり方」によって三昧に至る場合が示されましたが、この節では、ふつうの修行者が歩む道筋が示されています。

そこに挙げられているのは、

  • 信頼(śraddhā)
  • 努力(vīrya)
  • 記憶・保持(smṛti)
  • 三昧(samādhi)
  • 智慧(prajñā)

という、心の成熟の段階です。

まず、自分の体験や教えに対する信頼が土台となります。

その信頼があるからこそ、努力が続きます。

努力を続けることで、体験や理解を忘れずに保ちつづける力(smṛti)が育ちます。

それが深まり、心が安定していくと、三昧が成立します。

そして三昧の中で、対象をありのままに見る智慧があらわれます。

ここでは「信じれば救われる」という話をしているのではありません。

心がどのような順序で整っていくか、その機能的な流れを示しているのです。

そしてこれは、前節で挙げたような特別な存在に開かれた道ではなく、心の成熟を積み重ねていく、一般の修行者に開かれた道筋を示しています。