原文
śraddhā-vīrya-smṛti-samādhi-prajñā-pūrvaka itareṣām
和訳
身体を持たない存在や、自然原理(プラクリティ)に融解した存在とは異なり、普通の修行者たちは、
- 信頼(自分の体験や師の教えに対する)
- 努力
- 記憶・保持
- 三昧(サマーディ)
- 智慧
を経て、解脱に至る。
解釈
前節では、特別な存在が、その「あり方」によって三昧に至る場合が示されましたが、この節では、ふつうの修行者が歩む道筋が示されています。
そこに挙げられているのは、
- 信頼(śraddhā)
- 努力(vīrya)
- 記憶・保持(smṛti)
- 三昧(samādhi)
- 智慧(prajñā)
という、心の成熟の段階です。
まず、自分の体験や教えに対する信頼が土台となります。
その信頼があるからこそ、努力が続きます。
努力を続けることで、体験や理解を忘れずに保ちつづける力(smṛti)が育ちます。
それが深まり、心が安定していくと、三昧が成立します。
そして三昧の中で、対象をありのままに見る智慧があらわれます。
ここでは「信じれば救われる」という話をしているのではありません。
心がどのような順序で整っていくか、その機能的な流れを示しているのです。
そしてこれは、前節で挙げたような特別な存在に開かれた道ではなく、心の成熟を積み重ねていく、一般の修行者に開かれた道筋を示しています。